「利益警告」の発表が、ニュースで取り上げられています。
特に、米国株投資(特に個別株)を行っている方は、この「利益警告」のニュースは要注意の材料です。
その後の株価、業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
疑問
- 「利益警告」ってそもそも何?
- どうして「利益警告」が発表されたの?
- 「利益警告」を発表した企業の展望は?
これらについて、解説していきます。
利益警告とは!?
「利益警告」とは、「業績の下方修正」のことを指します。
会社の予想収益が、アナリストに予想された期待に適合しない場合に行う、企業の事前通知です。
この「利益警告」を発表は株価にとって、ネガティブな材料となります。
利益警告を発表した企業
ここ最近では、次の企業が「利益警告」を発表しています。(2022年6月8日現在)
利益警告を発表した企業
- マイクロソフト(ティッカー:MSFT)
- テックターゲット(ティッカー:TGT)
どちらもS&P500に採用される大企業です。
特に、米国大手の小売企業であるテックターゲットは、わずか3週間で2回目の業績の下方修正を発表しました。
利益警告の要因
マイクロソフト(ティッカー:MSFT) 2022年6月2日に利益警告を発表
米国証券取引委員会(SEC)に提出された資料(8-K)によると「為替レートの影響」により、次の決算の収益を下方修正したとのことです。
8-K(臨時報告書) ⇒ FY22 Q4 FX Update Trough May(2022.6.2)
直近のドル高の影響により、収益圧迫が以前の予想よりも大きくなる見通しとなったそうです。
マイクロソフトは売り上げの約半分を米国外から得ているため、今回の為替の影響を大きく受けてしまったということです。
具体的な4~6月(第4四半期)の売上高の見通しは次のとおりです。
売上高見通し
新ガイダンス:519憶4000万ドル~527憶4000万ドル
旧ガイダンス:532憶ドル
このとおり、業績が下方修正されました。
テックターゲット(ティッカー:TGT)2022年6月7日に利益警告を発表
プレスリリースによりますと、過剰在庫が利益圧迫の要因になっているとのことです。
これにより、営業利益率の予想を従来の5.3%から2%に引き下げました。
過剰在庫の解消に向けて、大幅な割引を行うとし、 また、インフレによる燃料価格や輸送費や高騰を相殺するために、一部商品を値上げする方針も示しています。
すでに、テックターゲットは5月に発表した決算発表において、燃料価格の高騰や輸送関連コストの増加により、大幅な減益を発表していました。
決算発表後の株価は約-24%と厳しいものでした。
利益警告後の株価は?
まず、マイクロソフトの株価です。
利益警告発表した6月2日のプレマーケットでは一時大幅なマイナスとなりました。
しかし、その後は買い戻しの動きとなり、結局はプラス圏で引ける結果となりました。
その後の株価は出来高も減少し、横ばいの様相です。
次に、テックターゲットの株価です。
5月18日の決算後に株価が大きく下落し、その後は横ばいの様相です。
6月7日の利益警告の発表後は、プレマーケットで大きく下落したものの、何とか買い戻しが入っています。
他の企業の業績予想は?
今回、グローバル企業であるマイクロソフト、米国大手の小売企業であるテックターゲットが、それぞれの利益警告を発表し、業績予想を引き下げました。
これらの企業と同様の業態、ビジネスモデルを展開する企業にとっては、同じような利益圧迫の要因により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
とは言え、その影響度合いは企業によって、様々なため一概には言えませんが、そういったリスクも考慮のうえで、銘柄選択が必要になると考えます。
次の第2四半期決算では、どのような決算発表結果となるか、少し恐ろしくもありますが、良い意味で期待を裏切ってくれることを祈りたいと思います。
まとめ
今回はマクロソフトとテックターゲットについて、「利益警告」を発表したニュースを取り上げました。
上記の企業以外にも、第1四半期決算発表時に業績予想を下方修正している企業がいくつかあります。
今後、企業業績を下方修正する企業がさらに増えれば、市場関係者の景気後退懸念により、米国市場は大きく下げる可能性もあるかもしれません。
しかし、今後、インフレや為替といったマクロな要因が改善してくれば、業績に与える影響も変わってきます。
個別企業の動向と合わせて注視したいところです。
最後に、直近では6月10日(金)に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表があります。
予想は前年比8.3%と高水準のインフレが継続されるとしています。
高インフレが継続するのか、インフレピークアウトの兆候があるのか、注目したいところです。