7月13日(水)21時30分に、6月米消費者物価指数CPIが発表されました。
概要は次の通りです。
https://twitter.com/t_noeru/status/1547200090166951943
上記のとおり、インフレピークアウトの兆しは見えず、CPI総合(前年比)は5月の8.6%を超える9.1%とインフレが加速したという結果となりました。
幅広い分野で、インフレが継続しており、FRBも積極的な利上げを実施する公算が高くなりました。
それでは、今回発表された米消費者物価指数の内容について、確認していきます。
消費者物価指数とは
まず、そもそも消費者物価指数(CPI)とは何でしょううか。
消費者物価指数とは
- 消費者物価指数とは「Consumer Price Index」を略して「CPI」と呼ばれる。
- 米国の消費者物価指数は、米国労働省統計局が毎月発表する統計。
- 消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標。
- 「CPIコア」とは価格変動の激しいエネルギー価格や食品価格を除いた指数。
上記のとおり、消費者物価指数は国民の生活水準を示す指標のひとつと言われています。
6月の消費者物価指数の結果は?
まず、CPI総合とCPIコアの結果は次のとおりです。
◆前年比結果
✅CPI総合:9.1%(予想8.8%)※前回8.6%
✅CPIコア:5.9%(予想5.8%)※前回6.0%
◆前月比結果
✅CPI総合:1.3%(予想1.1%)※前回1.0%
✅CPIコア:0.7%(予想0.7%)※前回0.6%
上記のとおり、前年比、前月比共に、市場予想と同等または上回る結果となりました。
特にCPI総合9.1%(前年比)という数字は、40年ぶりの高水準といわれた5月の結果を更新しました。
FRBは急ピッチで金融引き締めを行っていますが、改めてインフレはすぐに収まるものではないということを再認識させる結果となりました。
項目別のインフレ率
米消費者物価指数の項目別の詳細は米国労働省のホームページから閲覧することができます。
しかし、英語で分かりづらいと思いますので、一部抜粋して、次のとおりまとめてみました。
今回のCPIの各項目の概要は次のとおりです。
CPI結果
- 幅広い項目でインフレが継続
- ガソリン価格は前月比11.2%上昇し、電気や天然ガスを含むエネルギーサービスの価格も3.5%上昇
- 食品価格は前月比1%上昇し、前年比では10.4%上昇と1981年以来の大きな伸びとなる
- 住居費は0.6%上昇し、そのうち家賃は前月比0.6%上昇と1986年以来の大幅は伸びとなる
※住居費はCPI全体の1/3を占めるサービス分野最大の構成要素 - 中古車や新車の価格も前月比で上昇
- ホテルや航空運賃、レンタカーのコストは前月比で低下
- インフレ調整後の実質平均時給は前年比3.6%減少と15か月連続のマイナス
最後のインフレ調整後の実質平均時給が15か月連続のマイナスに注目です。
これは賃金上昇がインフレに追いついていないため、米国民全体がというわけではありませんが、非常に生活は苦しくなっていることを示唆しています。
消費者物価指数の結果を受けた株式市場の反応
発表直後のプレマーケットでは大きく株安方向に振れ、長期金利も大きく上昇しました。
しかし、その後バイデン大統領の声明もあり市場は落ち着きを取り戻していきました。
バイデン大統領の声明とは次のとおりです。
「6月CPIは古い情報であり、最近のガソリン価格下落を完全には反映していない」
ブルームバーグ 記事
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-13/REYQ5CT1UM0W01
確かにその通りですが、中間選挙を控えて、何とか国民にインフレの鈍化をアピールしたい発言とも考えられますね。
最終的な米国市場の結果は、主要3指数ともに下落となりましたが、そこまで大幅な下落とはなりませんでした。
今後の展望とまとめ
最後に、本記事をまとめます。
ポイント
- 6月のCPIの結果は高水準のインフレが加速
- 今後もFRBはタカ派の姿勢と積極的な金融引き締めを継続
- 7月FOMCでは「1.00%」の利上げ観測が強まる
- 急激な金利引き上げは、リセッション(景気後退)の懸念大へ
- 第2四半期決算シーズンスタートするも、インフレの影響は如何に
7月26-27日にFOMCが開催され、日本時間7月28日未明にパウエル議長の会見が行われます。
6月のFOMCでは、0.5%の利上げ予想を上回る、「0.75%」の利上げが発表されました。
7月のFOMCでは、それをさらに上回る「1.00%」の利上げ観測が強まっています。
また、今週から第2四半期決算が本格的にスタートです。
デルタ航空は利益減少により、市場予想を下回る決算を、台湾セミコンダクターは強い需要に支えられ好決算を発表しています。
今後もFRBの動向と企業決算に注目していきましょう。