1週間の米国株相場振り返り(7/25~7/29)
【決算、ニュース】ダイジェスト

7/25(月)~7/29(金)の米国市場を振り返ります!

本記事では1週間の米国市場の振り返りとして、次の内容についてまとめていきます。

トピックス

  • 相場概観について
  • 主要株価指数の動きについて
  • 米国債の動き(逆イールド発生中)
  • GAFAMの決算について
  • 注目の経済指標について
  • 各ニュースについて

相場外観について

IBD(Investor's Business Daily)による相場概観は、7/28(木)の市場の動向から、「上昇相場に圧力(Uptrend under pressure)」から、「上昇相場(Confirmed Uptrend)」へ変更となりました。

つまり、相場の見通しが黄色信号から青信号へ変わりました。

加えて、先週に引き続き今週も大きく指数が上昇する1週間でした。

先週、主要3指数は全て50日移動平均線を上抜けましたが、今週も割り込むことはなく、強い上昇となりました。

現在の、売り抜け日は7/29(金)の終値時点でNASDAQ1日となっています。

売り抜け日とは

売り抜け日とは、機関投資家の大量の売りの状態を明確に示します。

確認条件は①出来高が前日で増加、かつ②下落率が0.2%以上で1日のカウントをします。

「4~5週間で4~5日の売り抜け日があると、その後の市場全体は、ほぼ必ず下落を始める。」と言われています。

”オニールの成長株発掘法” ウィリアム・J・オニール著

なお、売り抜け日がリセットされる条件には次の3つの条件があります。

5%ルールとは

  1. 売り抜け日をカウントした指数の終値から5%以上、上昇すると売り抜け日は1日減少する。(5%ルール)
  2. 売り抜け日追加から25営業日経過で1日減少する。
  3. 調整相場から新たな上昇トレンドを示す”フォロースルーデイ”を確認すると、売り抜け日は0からスターとする。

次に、主要3指数の動きについて確認していきます。

主要株価指数の動きについて

NYダウ 1週間の株価推移

1週間で2.97%の上昇となりました。

年初来ではマイナス9.61%のパフォーマンスです。

各営業日の株価は次のとおり。(出来高:50日平均比)

7/25(月)+0.28%(-30%)

7/26(火)-0.71%(-27%)

7/27(水)+1.37%(-20%)

7/28(木)+1.03%(-20%)

7/29(金)+0.97%(-2%)

今週は50日移動平均線を反発して上昇しました。

今後は200日移動平均線を目指す展開となりそうです。

NASDAQ 1週間の株価推移

1週間では3.33%の上昇となりました。

年初来ではマイナス20.80%のパフォーマンスです。

各営業日の株価は次のとおり。(出来高:50日平均比)

7/25(月)-0.44%(-18%)

7/26(火)-1.87%(-15%)

7/27(水)+4.06%(-10%)

7/28(木)+1.08%(-3%)

7/29(金)+1.88%(-4%)

週足でも、週の高値圏で引け、強い動きの1週間でした。

特に7/27(水)の相場では、FOMCにより0.75%の利上げを行うことが決定されましたが、FRBパウエル議長の発言が好感され、2020年4月以来の大幅な上昇率を記録しました。

今後数週間のうちに、200日移動平均線も上抜けることができれば、本格的にハイテク銘柄を中心に買われる展開があるかもしれませんが、長期金利の動向についても注意が必要です。

S&P5001週間の株価推移

1週間では4.26%の上昇となりました。

年初来ではマイナス13.34%のパフォーマンスです。

各営業日の株価は次のとおり。(出来高:50日平均比)

7/25(月)+0.13%(-30%)

7/26(火)-1.15%(-27%)

7/27(水)+2.62%(-20%)

7/28(木)+1.21%(-20%)

7/29(金)+1.42%(-2%)

S&P500も、非常に強い1週間となりました。

FOMCの結果及びパウエル議長の発言を受け、節目の4000ポイントを超えるとともに、さらに強い上昇をみせました。

NASDAQと同様に、次は200日移動平均線を試す展開となりそうです。

米国債の動き

今週は長期金利(米国10年債)の利回りは約3.5%下落し、株高の追い風となりました。

引き続き、2年債と10年債の逆イールドは引き続き発生していますが、FOMCで0.75%の追加利上げが発表されたにも関わらず、長期金利が下落したことは非常に興味深い展開です。

◆米国10年債利回り

7/22(金)終値2.754

7/29(金)終値2.658

逆イールドとは

イールドカーブの形状が通常とは逆になり、償還までの期間が短い債券の利回りが期間の長い債券の利回りを上回る状態を指します。

この逆イールドは景気後退の予兆とされ、投資家の関心も高い指標となります。

イールドカーブとは

債券の利回り(イールド)を償還までの期間が短い順に左から右に並べ、線でつないだグラフを指します。

通常は償還までの期間がながくなるほど利回りが高くなるため、イールドカーブは右肩上がりの形状になります。

注目企業の決算発表

今週は、GAFAMの決算発表がありました。

グーグル、マイクロソフト、メタ(旧フェイスブック)、アップル、アマゾンがそれぞれ決算発表しています。

これらの企業は指数に占める時価総額の割合が多いため、企業業績や株価の動向が指数の動きに大きく影響してしまいます。銘柄を買う、買わないにかかわらず、市場の方向性を確認する意味でも、GAFAMの企業は毎期欠かさず決算結果をチェックすることが必要です。

それでは、各企業の決算をダイジェストで確認していきます。

グーグル(ティッカー:GOOGL)

7/26(火)の引け後に発表がありました。

EPS:$1.21(予想$1.30

EPS成長率:-11%YoY

売上高:$69.69B(予想$69.99B

売上高成長率:+13% YoY

EPS、売上高はぞれぞれアナリスト予想を下回ったものの、先週大幅に予想を下回る決算を発表したスナップ(ティッカー:SNAP)ほど悪い印象ではありません。

しかし、EPS成長率は直近4四半期で著名に鈍化し、今期はマイナス成長となりました。

売上高の内訳では、グーグルの検索広告収入は市場予想を上回った一方で、YouTube広告収入や、クラウドコンピューティング事業、その他の事業の売上高はすべて予想を下回りました。

昨今、企業は賃金インフレや燃料コスト増などの影響により、一部の広告主がマーケティングの縮小を余儀なくされています。

加えて、米大手のグローバル企業はドル高の影響で、海外事業の収益も圧迫されています。

広告収入が大半を占めるグーグルの業績改善には、インフレや為替といったマクロ環境の改善の有無が、今後大きく影響しそうです。

マイクロソフト(ティッカー:MSFT

7/26(火)引け後に決算発表がありました。

EPS:$2.23(予想$2.30

EPS成長率:+3%YoY

売上高:$51.9B(予想$52.47B

売上高成長率:+12% YoY

2023年通期ガイダンス

売上高と営業利益の成長率は2桁成長

マイクロソフト6月上旬に業績予想の下方修正を発表していましたが、結果はさらに、アナリスト予想も下回るものとなりました。

しかし、earningcallにおいて発表された2023年のガイダンスでは、明るい見通しが示され、株価もそのことを好感した動きになりました。

今期の決算は、不利な為替レートに加え、クラウドサービスやパソコン向けソフトウエア、オンライン事業への広告に対する需要が弱まったことが業績に重しとなったと言われています。

またアジュールの増収率は40%に鈍化し、市場予想を下回りました。

将来の売上高の指標とされるコマーシャル・ブッキングは25%増と、会社側予想を「大幅に」上回り、マイクロソフトのソフト製品に対する法人需要が依然堅調なことを示唆しています。

メタ(ティッカー:META

7/27(水)引け後に決算発表がありました。

2022Q2決算

EPS:$2.46(予想$2.61

EPS成長率:-32%YoY

売上高:$28.8B(予想$28.94B

売上高成長率:-1% YoY

2022Q3ガイダンス

売上高:$26B$28.5B(予想$30.52B

メタは、次期の業績予想も含み、アナリスト予想を下回りました。

四半期ベースで初の減収となり、広告主が予算を減らしたことを理由に挙げています。

マーク・ザッカーバーグCEOも電話会見で「景気は下降局面入りしているようで、これはデジタル広告事業に幅広い影響をもらたす。」

「状況は第1四半期より悪化したと見受けられる」とコメントしています。

現在、メタはメタバース分野への投資を続けていますが、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)に特化した「リアリティ・ラボ」部門の売上高はヘッドセット販売を中心に前年同期比48%の増加を達成しました。

しかし、損益は28憶1000万ドルの赤字と、前年同期から損失が拡大しています。

アップル(ティッカー:AAPL

7/28(木)引け後に決算発表がありました。

2022Q3決算

EPS:$1.20(予想$1.16

EPS成長率:-7.7%YoY

売上高:$82.96B(予想$82.81B

売上高成長率:+1.9 YoY

アップルが発表した決算では、EPSと売上高はアナリスト予想を上回り、サプライチェーンの問題や不安定な経済情勢が業績に打撃を与えるとの懸念が和らぐ結果となりました。

EPSが7四半期ぶりにマイナス成長に転じてしまったことは憂慮すべき点ですが、次の第4四半期決算において、利益が改善するか、悪化するか、大きな転換点になりそうです。

各製品別にみると、「iPhone」「iPad」の売上高は予想よりも好調な結果となりましたが、「Mac」や「ウエアラブル端末」などの製品は予想に届きませんでした。

またアップルの主要な成長分野でもあるサービス事業の収入は予想をわずかに下回りました。

ティム・クックCEOは「逆風が重なった」ことを説明したうえで、「今後数か月に売上高が上向き始める」との見通しを示しました。

アマゾン(ティッカー:AMZN)

7/28(木)引け後に決算発表がありました。

2022Q2決算

EPS:$-0.20(予想$0.13

前年同期は$0.76

売上高:$121.2B(予想$119.09

売上高成長率:+7 YoY

◆2022年Q3ガイダンス

売上高:$125B$130B(予想$126.42B

アマゾンは決算発表後のアフターマーケットで株価が急騰し、その後の市場では10.36%の上昇となりました。

好材料となったのは、第3四半期決算のガイダンスです。

7~9月期の売上高について、強い見通しが示されたことが好感されています。

またEPSがアナリスト予想を下回った理由としてリビアン・オートモティブに対する投資損失を計上したことを理由に挙げています。

アマゾンはこれまで、経費削減に取り組み、従業員は前期比で約10万人削減したことを発表しています。

アマゾンは2021年にGAFAMの中で先駆けて業績が悪化し、株価を大きく下げていました。

今後は前年同期の比較をするうえでも、業績が向上しやすい局面に入り、2023年には利益を大きく伸ばすことが予想されています。

この予想が実現できるような業績を毎期、残すことができれば、22年から23年にかけてGAFAMの中では一番の成長銘柄になるかもしれません。

注目の経済指標について

今週、発表された主な経済指標は次のとおりです!

今週発表の経済指標

  • FOMC(7/26-7/27)
  • 新築住宅販売件数(7/26)
  • 第2四半期GDP(7/28)
  • 第2四半期GDPデフレーター(7/28)
  • 第2四半期個人消費支出(7/28)
  • 第2四半期PCEコアデフレーター(7/29)
  • 第2四半期PCEデフレーター(7/29)
  • 新規失業保険申請件数(7/29)
  • 雇用コスト指数()
  • シカゴ購買部協会景気指数(7/29)
  • ミシガン大学消費者信頼感指数(7/29)
FOMC(7/26-7/27)

米連邦準備理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、2.25─2.50%としました。

パウエルFRB議長も会見で「インフレリスクを引き続き注視する」と強調し、インフレ率抑制は不可欠であり物価安定に失敗するという選択肢はないと述べた。

その上で、FRBはインフレが米国の家庭、中でも経済的に余裕のない人々に与える打撃を「痛感」しており、インフレが低下しているという「説得力のある証拠」が示されるまで手綱を緩めることはないとしました。

FOMC声明全文(ロイター)

https://jp.reuters.com/article/frb-fomc-statement-idJPKBN2P21Z1

新築住宅販売件数(7/26)

✅結果:590千件(予想:659千件)

※前月から8.1%減少

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-housing-idJPKBN2P11CO

第2四半期GDP(7/28)

✅結果:-0.9%(予想:0.4%)

※2四半期連続で縮小

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-idJPKBN2P31GW

第2四半期GDPデフレーター(7/28)

✅結果:8.7%(予想:8.0%)

 

第2四半期個人消費支出(7/28)

✅結果:1.0%(予想:1.2%)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-29/RFS8MNT0G1KW01

第2四半期PCEコアデフレーター(7/29)

✅結果:4.4%(予想:4.4%)

第2四半期PCEデフレーター(7/29)

✅結果:6.8%(予想:6.7%)

新規失業保険申請件数(前週比)(7/29)

✅結果:25.6万人(予想:625.1万人)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-idJPKBN2P31JK

雇用コスト指数(4-6月)(7/29)

✅結果:1.3%(予想:1.2%)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-29/RFS84UT0G1KW01

シカゴ購買部協会景気指数(7/29)

✅結果:52.1(予想:55.2)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30F5A0Q1A730C2000000/

ミシガン大学消費者信頼感指数(7/29)

✅結果:51.5(予想:51.1)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-sentiment-idJPKBN2P41LK

 

注目ニュース

今週の気になるニュースはこちら!
ロシア、欧州向けガス供給再び削減 戦場越えて影響拡大

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-idJPKBN2P01QB

テスラ、設備投資を数十億ドル上積み-SECから新たな召喚状も

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-25/RFKUG9T0G1KW01

ガソリン高で米市民生活に変化、車利用や外食など抑制-AAA調査

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-26/RFLNTGT1UM0X01

米ウォルマート、通年見通し下方修正 食料・燃料費高騰響く

https://jp.reuters.com/article/walmart-forecast-idJPKBN2P01T5

IMF、世界経済成長予測を下方修正 インフレで景気後退リスク

https://jp.reuters.com/article/imf-outlook-idJPKBN2P114R

米新築住宅販売、6月に再び減少-過去2年余りの最低水準

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-26/RFMSDXT0G1KW01

米ガートナー「世界の半導体市場は減速期に入りつつある」

https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/607096

トルコ、ウクライナ産穀物の輸出再開は1週間以内に可能

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-27/RFOA5OT0AFBE01

ベスト・バイも売上高と利益見通し下げ、ウォルマートに続き-株下落

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-27/RFP6YAT0AFB701

米上院、半導体業界支援法案を可決-520億ドル補助金

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-27/RFOVWMT1UM0W01

風力・ソーラー関連株が急伸、米税制・支出法案の合意を好感

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-28/RFQCIZT1UM0X01

FRB再び0.75%利上げ、インフレ注視 議長「次回は指標次第」

https://jp.reuters.com/article/frb-fomc-idJPKBN2P21VP

米国債の逆イールド拡大、数十年ぶり32bp-FOMC大幅利上げ受け

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-28/RFPDK9T0G1KW01#

FOMC:市場の解釈よりもタカ派的と受け止めた-市場関係者の見方

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-27/RFNTTWT1UM0W01

マスク氏、インフレ減速の可能性-テスラの原材料価格は下降傾向

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-29/RFRB9LT0G1KW01#

中国アリババ、米SECが上場廃止警告リストに追加-株価急落

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-29/RFSOBFT0AFB501

アトランタ連銀総裁、米国は景気後退入りには「ほど遠い」-利上げ続く

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-29/RFS6TOT0AFBJ01#

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