米国株投資を始めるなら「S&P500」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
本記事では、米国株投資をするなら絶対抑えておきたい「S&P500」について解説していきます。
この記事を読むと
- S&P500の歴史について知ることができる
- S&P500の中身について説明できる
- S&P500に選ばれる会社の基準が分かる
- S&P500が広く米国市場をカバーしている理由が分かる
それでは、それぞれ解説してきます。
目次
S&P500の歴史について
そもそもS&Pって何でしょうか?
S&Pとは「Standard & Poor's(スタンダード & プアーズ)」という会社の名称の略です。
「Standard & Poor's(スタンダード & プアーズ)社」は当初、26業種にわたる223の企業を含む複数の指数を開発しました。
それが1957年に現在の500社になり、その後も60年以上にわたって、米国株式市場の代表的な株価指数として高く評価され続けています。
現在はS&Pグローバルの子会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が指数を算出しています。
S&P500の特徴について
次に、押さえておきたいS&P500の特徴について解説してきます。
特徴
- S&P500の構成銘柄
- 時価総額加重型の指数
- S&P500の採用基準
- 組み入れ銘柄の中心セクターは情報技術(IT)・ヘルスケア
- S&P500のEPSは右肩上がり
S&P500の構成銘柄
構成銘柄である500社の時価総額は、米国市場全体の約80%を占めており、米国経済全体の動向を見る指標として非常に有効です。
そのS&P500を構成する銘柄のうち、ウエイト上位10銘柄は次のとおりです。
銘柄 | 業種 | ティッカー |
アップル | 情報技術 | AAPL |
マイクロソフト | 情報技術 | MSFT |
アマゾン | 一般消費財 | AMZN |
テスラ | 一般消費財 | TSLA |
アルファベット クラスC | 情報技術 | GOOGL |
アルファベット クラスA | 情報技術 | GOOG |
バークシャーハサウェイ | 金融 | BRK.B |
ユナイテッドヘルス | ヘルスケア | UNH |
ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | JNJ |
エヌビディア | 情報技術 | NVDA |
上記のとおり、S&P500のウエイト上位銘柄は、米国の経済成長をけん引する大企業が名を連ねています。
アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、どれも聞いたころのある有名な企業ですね。
さらに、現在は電気自動車で有名なテスラ、半導体企業のエヌビディアなど、成長著しい企業も上位に組み込まれています。
組み入れ銘柄は定期的に入れ替えが行われるため、必然的に強い企業が上位に生き残っていく構図となります。
時価総額加重型の指数
まず、時価総額加重とはなんでしょうか?
S&P500とは500社に均等に投資をする指数ではなく、各銘柄投資する割合はバラバラとなっています。
つまり、時価総額が大きい銘柄にはより多くの投資を、時価総額が小さい銘柄には少ない投資をしています。
時価総額とは次の計算式で計算されます。
時価総額
「時価総額」=「株式」×「株価」
このように、業績を伸ばし、株価の高い企業のウエイトが大きくなる仕組みとなっています。
また、S&P500の単位はドルではなく「ポイント」です。
NYダウの単位はドル、NASDAQ総合指数の単位はポイントと、指数によって単位が異なることも覚えておきましょう。
S&P500の採用基準
S&P500の採用基準は全て明かされていませんが、次の項目により採用されるとされています。
採用基準
- 米国企業であること
- 時価総額が53億ドル以上
- 浮動株比率が最低50%以上
- 直近4四半期連続で黒字の利益を維持
- 米国市場全体のセクター構成に等しくなること
浮動株比率とは株式市場に流通している株式の量のことです。
上記の採用基準を基に、エコノミストやアナリストから構成される指数委員会により銘柄の入れ替えが行われています。
当然利益が出せなくなった企業は除外され、新たに成長著しい企業を組み入れる、新陳代謝が活発に行われているということです。
組み入れ銘柄の中心セクターは情報技術(IT)・ヘルスケア
先ほどご紹介した採用基準を基に構成されるS&P500のセクター比率(2022年4月29日時点)を確認します。
出所:S&Pダウジョーンズ
英語で分かりづらいので、以下のとおり整理します。
セクター(業種) | ウエイト |
情報技術 | 27.2% |
ヘルスケア | 14.2% |
一般消費財 | 11.5% |
金融 | 11% |
通信サービス | 8.6% |
資本財 | 8% |
生活必需品 | 6.8% |
エネルギー | 4.2% |
不動産 | 2.9% |
公共事業 | 2.9% |
素材 | 2.8% |
上記のとおり、現在のS&P500は情報技術(IT)とヘルスケアのセクター(業種)で全体の約40%を占めている状況です。
セクター比率は時代によって大きく異なり、その時々の経済の特徴を反映していると言えます。
情報技術
- アップル(ティッカー:AAPL)
- マイクロソフト(ティッカー:MSFT)
- エヌビディア(ティッカー:NVDA)
- アドバンスドマイクロデバイス(ティッカー:AMD)
ヘルスケア
- ジョンソン・&・ジョンソン(ティッカー:JNJ)
- ユナイテッドヘルス(ティッカー:UNH)
- ファイザー(ティッカー:PFE)
- メルク(ティッカー:MRK)
一般消費財
- アマゾン(ティッカー:AMZN)
- テスラ(ティッカー:TSLA)
- マクドナルド(ティッカー:MCD)
- ナイキ(ティッカー:NKE)
金融
- JPモルガン(ティッカー:JPM)
- バンクオブアメリカ(ティッカー:BAC)
- ビザ(ティッカー:V)
- マスターカード(ティッカー:MA)
通信サービス
- グーグル(ティッカー:GOOG)
- メタ(旧フェイスブック)(ティッカー:FB)
- ディズニー(ティッカー:DIS)
生活必需品
- ウォルマート(ティッカー:WMT)
- コカ・コーラ(ティッカー:KO)
- ホームデポ(ティッカー:HD)
- コストコ(ティッカー:COST)
- P&G(ティッカー:PG)
エネルギー
- エクソンモービル(ティッカー:XOM)
- シェブロン(ティッカー:CVM)
- ディズニー(ティッカー:DIS)
具体的なセクター比率や組入銘柄を確認すると、S&P500に投資している人も、具体的にどんなセクターや企業に投資をしているか、イメージが湧くのではないでしょうか。
S&P500のEPSは右肩上がり
まずはこの図をご覧ください。
出所:S&P500 Earnings
これはS&P500のEPS(一株当たり利益)の推移を表したグラフです。
EPS(一株当たり利益)とは
「EPS」=「当期純利益」×「発行済株式総数」
EPSは上記のような計算式で算出され、企業が1株当たりどれくらいの利益を生み出しているか、つまり収益力を判断する指標となります。
図のとおり、S&P500のEPSは長期で右肩上がりで増加しています。
これはつまり、S&P500に含まれる企業が、ちゃんと利益を出し続けているということです。
「S&P500は右肩上がりだ」といわれる背景には、「EPSも右肩上がりに増えている」=「株価も右肩上がりに上がっていく」ということが言える訳です。
まとめ
ここまで、次の項目について解説してきました。
まとめ
- S&P500の歴史について
- S&P500の特徴について
- S&P500の構成銘柄
- 時価総額加重型の指数
- S&P500の採用基準
- 組み入れ銘柄の中心セクターは情報技術(IT)&ヘルスケア
- S&P500のEPSは右肩上がり
今までS&P500に投資してきた方も、これからS&P500への投資を検討している方も、少しはS&P500についての理解が深まったでしょうか?
投資対象について理解が深まると、しっかりとリスク、リワードも判断できるようになるかと思います。
そして、これからもどんな成長企業がS&P500に新しく加わっていくのか、楽しみですね!