1週間の米国株相場振り返り(7/18~7/22)
【決算、ニュース】ダイジェスト

1週間の米国市場を振り返ります!

本記事では1週間の米国市場の振り返りとして、次の内容についてまとめていきます。

トピックス

  • 主要株価指数の動きについて
  • 相場概観について
  • 米国債の動き(逆イールド発生)
  • 注目企業の決算について
  • 注目の経済指標について
  • 各ニュースについて

相場外観について

IBD(Investor's Business Daily)による相場概観は、先週に引き続き「上昇相場に圧力(Uptrend under pressure)」となっています。

今週は久しぶりに上昇ラリーとなりました。

主要3指数全てで50日移動平均線を上抜け、その後割り込むことはありませんでした。

また、売り抜け日についても5%ルールにより一部リセットされ、7/22(金)の終値時点でNASDAQ1日、S&P500指数1日となっています。

売り抜け日とは

売り抜け日とは、機関投資家の大量の売りの状態を明確に示します。

確認条件は①出来高が前日で増加、かつ②下落率が0.2%以上で1日のカウントをします。

「4~5週間で4~5日の売り抜け日があると、その後の市場全体は、ほぼ必ず下落を始める。」と言われています。

”オニールの成長株発掘法” ウィリアム・J・オニール著

5%ルールとは

売り抜け日をカウントした指数の終値から5%以上、上昇すると売り抜け日は1日減少する。(5%ルール)

※上記以外にも、次の条件で売り抜け日は減少またはリセットされる。

①売り抜け日追加から25営業日経過で1日減少する。

②調整相場から新たな上昇トレンドを示す”フォロースルーデイ”を確認すると、売り抜け日は0からスターとする。

次に、主要3指数の動きについて確認していきます。

主要株価指数の動きについて

NYダウ 1週間の株価推移

1週間で1.95%の上昇となりました。

各営業日の株価は次のとおり。(出来高:50日平均比)

7/18(月)-0.69%(-25%)

7/19(火)+2.43%(-22%)

7/20(水)+0.15%(-18%)

7/21(木)+0.51%(-22%)

7/22(金)-0.43%(-27%)

全体を通じて薄商いではありますが、7/19(火)に50日移動平均線を上抜け、その後も割り込むことなく推移しています。

この50日移動平均線を再度割り込んでしまうか、下値支持線としてサポートされるか次週の注目ポイントです。

NASDAQ 1週間の株価推移

+3.33%(週ベース)

7/18(月)-0.81%(-4%)

7/19(火)+3.11%(+1%)

7/20(水)+1.58%(+4%)

7/21(木)+1.36%(-11%)

7/22(金)-1.87%(-9%)

主要3指数のうち、一番出来高を伴って取引されています。

これは、今まで一番売り込まれていたNASDAQに属するハイテク銘柄を中心にショートカバーや底値買いの動きにより、強い上昇を見せていると考えます。

今後、機関投資家の買いが確認できる、出来高を伴った強い上昇が確認できれば、本格的に上昇トレンドに戻る可能性もありそうです。

また、7/22(金)には売り抜け日1日を確認しています。

S&P5001週間の株価推移

1週間では2.55%の上昇となりました。

7/18(月)-0.84%(-25%)

7/19(火)+2.76%(-22%)

7/20(水)+0.59%(-18%)

7/21(木)+0.99%(-22%)

7/22(金)-0.93%(-27%)

S&P500も上昇を見せ、50日移動平均線を上抜けました。

しかし、4000ポイントという節目のラインで上値を押さえつけられてしまったような動きをみせ、7/22(金)は下落してしまいました。

ただし、先週まで売り抜け日4日を確認していましたが、5%ルールにより売り抜け日1日に減少したことはポジティブな材料です。

次週は50日移動平均線を割り込むことなく、節目の4000ポイントを上抜けることができるか、注目です。

米国債の動き(逆イールド発生)

先週発生した5年債と30年債の逆イールドは解消されましたが、2年債と10年債の逆イールドは引き続き発生しています。

しかし、週ベースで長期金利の指標となる10年債の利回りは5.9%下落し、NASDAQを中心に株が買われる展開となりました。

◆10年債券利回り

7/15(金)終値2.928

7/22(金)終値2.754

逆イールドとは

イールドカーブの形状が通常とは逆になり、償還までの期間が短い債券の利回りが期間の長い債券の利回りを上回る状態を指します。

この逆イールドは景気後退の予兆とされ、投資家の関心も高い指標となります。

イールドカーブとは

債券の利回り(イールド)を償還までの期間が短い順に左から右に並べ、線でつないだグラフを指します。

通常は償還までの期間がながくなるほど利回りが高くなるため、イールドカーブは右肩上がりの形状になります。

注目企業の決算発表

先週から第2四半期決算シーズンが本格的にスタートしています。

先週は、デルタ航空、台湾セミコンダクター、ユナイテッドヘルスといった各セクターの大型株をはじめ、銀行株の決算も多くありました。

今週はテスラ、ネットフリックス、ジョンソン&ジョンソン、スナップなど多くの注目企業の決算がありました。

それでは、主なの決算をダイジェストで確認していきます。

バンク・オブ・アメリカ(ティッカー:BAC)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549014157403779072

7/18寄り付き前に決算発表がありました。

EPSは大きくアナリスト予想を下回る結果となりました。

先週に、引き続き銀行株の多くは利益が出せず、苦戦している模様です。

EPSはかなりのマイナス成長となっています。

決算発表後の株価

決算発表直後の相場では、一時的に上昇を見せますが、結果的に大きなうわ髭をつけて引けることとなりました。

その後は、指数全体の好調さにも助けられ、週ベースでは3.66%の上昇となりました。

ゴールドマンサックス(ティッカー:GS)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549017003964641281

7/18寄り付き前に決算発表がありました。

一見アナリスト予想を超えて、ポジティブな決算のように見えますが、EPSも売上高も成長率は大きく減速しています。

ゴールドマンサックスはこれで、直近3四半期連続でEPSがマイナス成長となっています。

決算発表後の株価

直後のザラ場ではギャップアップして、2.52%の上昇を見せ、その後も週ベースでは10.2%の上昇となりました。

チャールズシュワブ(ティッカー:SCHW)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549135983727493121

7/18(月)寄付き前に決算発表がありました。

第1四半期ではEPSはマイナス成長となっていましたが、今期はプラス成長に転じ、アナリスト予想も超えてきました。

大型の銀行株の中では、EPSと売上高がプラス成長している数少ない企業の一つです。

決算発表後の株価

決算発表直後は1.51%の下落となりましたが、週ベースでは1.3%の上昇となりました。

まだ50日移動平均線が上値抵抗線となっている模様です。

IBM(ティッカー:IBM)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549134335076614144

7/18(月)引け後に決算発表がありました。

EPSと売上高は共にアナリスト予想を上回り、EPSの成長率は第1四半期と比較しても上昇しています。

2022年通期のガイダンスは前回と特に変更はありません。

決算発表後の株価

決算発表後の7/19(火)では、ギャップダウンで5.25%も下落する展開となりました。

200日移動平均線を割り込み、週ベースでも8.34%のマイナスとなっています。

マルテン・トランスポート(ティッカー:MRTN)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549139264558215169

7/18(月)引け後に決算発表がありました。

高いEPS成長を維持しており、さらにここ1年間でEPSも売上高も成長が加速していることは好材料です。

会社コメント

  • 燃料コスト増と運転手不足という業界的な逆風があるものの、過去最高の収益と営業利益を達成

トラック輸送業界もインフレや賃金上昇、運転手不足という逆風を受けながらも、MRTNはしっかりと利益を残している企業の1つと言えそうです。

決算発表後の株価

決算発表後の7/19(火)は出来高を伴った、17.84%の急上昇を見せました。

週ベースでは13.3%の上昇となりましたが、今後も期待できる銘柄の1つとなりそうです。

ジョンソン&ジョンソン(ティッカー:JNJ)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549379259009232897

7月19日(火)の寄付き前に決算発表がありました。

EPS、売上高はアナリスト予想を上回ったものの、2022年通期のガイダンスはアナリスト予想を下回りました。

ガイダンスは下方修正し、ドル高による為替の影響によるとコメントがありました。

2022年通期ガイダンス

✅EPS:$10.0~$10.1(予想$10.27)

✅売上高:$93.3B~$94.3B(予想$96.04B)

決算発表後の株価

決算発表直後の市場では出来高を伴い、1.46%の下落となました。

週ベースでは3.43%のマイナスとなっていますが、かろうじて200日移動平均線をサポートラインにして、耐えている印象です。

ネットフリックス(ティッカー:NFLX)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549495449421508608

7月19日(火)の寄付き後に決算発表がありました。

売上高と第3四半期ガイダンスが予想を下回り、さらに会員数は第1四半期と比較して減少となりました。

やはりドル高による為替の影響を受けているとのコメントがありました。

また、マイクロソフトと提携して広告配信を行うことが数日前に発表されていましたが、具体的な開始時期が言及されています。

開始時期の目標は2023年前半で、広告付きの低価格プランを作るとのことです。

決算発表後の株価

決算発表後の7/20(水)は出来高を伴い、5.61%の上昇となました。

週ベースでは16.57%の上昇となりました。

昨年11月に記録した$700.99の最高値から、すでに約72%も株価は下落しており、久しぶりに大反発の週となりました。

テスラ(ティッカー:TSLA)

https://twitter.com/t_noeru/status/1549858691662626816

7月20日(水)引け後に決算発表がありました。

売上高はアナリスト予想を下回りました。

これは、中国上海工場がロックダウンの影響により、第2四半期の大半が操業停止となったためとのことです。

しかし、その後6月は月間の生産台数が過去最高を記録し、順調に稼働を続けています。

また、米カリフォルニア州フリーモント工場も第2四半期に過去最高の生産台数を記録しており、「年平均50%の自動車納車台数の伸び」というガイダンス達成に向けては、ポジティブな材料が増えてきている印象です。

決算発表後の株価

決算発表後の7/21(木)は、9.78%の強い上昇をみせました。

週ベースでは13.4%の上昇となり、4月末に50日移動平均線を割り込んで以降、約3カ月ぶりに50日移動平均線を上抜けました。

今後も各工場の操業状態と生産台数に注目です。

スナップ(ティッカー:SNAP)

https://twitter.com/t_noeru/status/1550236654279233537

7/21(木)引け後に決算発表がありました。

EPS、売上高ともにアナリスト予想を下回り、ガイダンスの発表は見送るとのコメントです。

EPSは2四半期連続のマイナス成長となりました。

景気後退懸念により広告出稿が減った(特に欧州)こと、アップルのIOSのプライバシー規制の変更の影響を受けていることがコメントされています。

決算発表後の株価

決算発表後の7/22(金)は、マイナス39.08%の大幅下落となりました。

週ベースでは27.03%の下落です。

広告配信をビジネスとしている、グーグルやメタ(旧フェイスブック)の決算も、今後注目となりそうです。

アメリカンエクスプレス(ティッカー:AXP)

https://twitter.com/t_noeru/status/1550449154882928640

7月22日(金)寄付き前に決算発表がありました。

2022年通期EPSのガイダンスのみアナリスト予想を下回りましたが、その他は全て予想を上回りました。

特に20222年通期の売上高ガイダンスを上方修正したことは好材料と言えます。

しかし、EPSがマイナス成長に転じたことや、2022年通期EPSの予想値は2021年通期EPSを下回っていることは、まだネガティブな材料です。

カード会員の支出は前年同期比で30%増加しており、景気はまだまだ底堅いと言えるかもしれませんが、しっかりと利益が出せるかどうか、今後の注目ポイントになりそうです。

決算発表後の株価

決算発表直後の市場では1.88%の上昇なりました。

週ベースでは7.39%の上昇となり、50日移動平均線を上抜けることができました。

今後は200日移動平均線を上抜けることができるかどうか、確認していきたいところです。

 

注目の経済指標について

今週、発表された主な経済指標は次のとおりです!

今週発表の経済指標

  • 住宅市場指数(7/18)
  • 住宅建設許可件数(7/19)
  • 住宅着工件数(7/19)
  • 中古住宅販売件数(7/20)
  • フィラデルフィア連銀業況指数(7/21)
  • 新規失業保険申請件数(7/21)
  • 総合購買担当者指数(PMI)速報値(7/22)

以下、それぞれの経済指標の結果です。

7月住宅市場指数

✅結果:55(予想66)※前月:67

◆米NAHB住宅市場指数、2020年5月以来の低水準ー金利高などで(ブルームバーグ)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-18/RF7YWLDWLU6D01

住宅建設許可件数

✅結果:1,685千件(予想:1,688千件)

◆米住宅着工、6月は2.0%減、9カ月ぶり低水準(ロイター)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-housing-idJPKBN2OU1BA

住宅着工件数

✅結果:1,559千件(予想:1,588千件)

◆米住宅着工、6月は2.0%減、9カ月ぶり低水準(ロイター)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-housing-idJPKBN2OU1BA

中古住宅販売件数

✅結果:5.1百万件(予想5.4百万件)

◆米中古住宅販売件数は5カ月連続減少、2年ぶり低水準ー金利上昇響く(ブルームバーグ)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-20/RFBO98DWX2PS01

フィラデルフィア連銀景況指数

✅結果:-12.3(予想:1.7)

◆米7月フィラデルフィア連銀業況指数、2カ月連続のマイナス圏(ロイター)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-philly-fed-idJPL4N2Z23OR

新規失業保険申請件数(前週比)

✅結果:25.1万件(予想23.9万件)

◆米新規失業保険申請、25.1万件に増加 8カ月ぶり高水準(ロイター)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-unemployment-idJPKBN2OW1JO

総合購買担当者指数(PMI)速報値

✅結果:47.5

◆米総合PMI、7月は47.5に急低下 約2年ぶりに50割れ(ロイター)

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-pmi-flash-idJPKBN2OX1AJ

注目ニュース

今週も気になるニュースがありました!

アップルが来年の採用と支出を抑制へ(7/19)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-18/RF88RFDWLU6801

オランダASML、第2四半期は増益 受注が過去最高(7/20)

https://jp.reuters.com/article/asml-holding-results-idJPKBN2OV0BU

 

 

 

-雑記